王朝の終焉 2
台北の街を注意して歩くと、ビルの入り口近くに「空襲防空洞」という黄色い小さな貼り紙に気づきます。
いわゆる地下シェルターのことだが、従来は敵の空襲時に通行中の一般市民を避難させるため、別の目的での利用は許さ景れず常時開放しておくことが義務づけられていました。
しかし、いまではこれがカラオケボックスに代わって登場してきた「茶芸館」・・・
ときには客がトランプを持ち込みギャンブルの賭場にもなる24時間営業の喫創茶店に変わっている例も多いと聞きました。
中国との冷戦が継続してきたという建前とは違い、人々の意識はこんなものだったと言っていいでしょう。
動員識乱時期とは、そもそも国共内戦後、台湾に本拠を移した蒋介石がその権力基盤を固めるためにつくり出した「擬制」だったという見方は野党関係者のみならず、いわゆるリベラル派と称される知識人の共通した考え方でもあります。
『醜い中国人』や『絶望の中国人』(ともに張良澤・宗像隆幸訳、光文社)などの本で日本でも知られる台湾の作家・柏楊氏は、
「動員戯乱時期の廃止は、蒋家の王朝の終焉を意味する。
台湾の人々は長かった暗黒時期をついにくぐり抜けたのだ」
・・・と書いています。
国民党を批判して10年も投獄された経験を持つ作家のひとつの時代を総括する言葉でもあります。